荒谷 卓
覇権を争う列国の強圧に屈し不平等条約締結を許した幕末。我が国歴史上未曾有の国難に際し、我が国は逆境にあっても自国の尊厳を失うことなく、一転世界の大国へと発展した。この大事業をなしえたのは、孝明天皇そして明治天皇を中核にした君民一体の力の顕現によるものであった。
激烈なる国際情勢の中、明治天皇は、『孝明天皇諡號奉宣』により孝道をお示しになり、続いて『王政復古の大號令』により、「神武創業の始めに原づき、盡忠報國の誠をもって奉公すべき」ことを煥発された。さらに国政の大方針である『五箇條の御誓文』とともに『明治維新の宸翰』により、「国威を四方に宣布し、天下を富岳の安きに置かんことを欲す」として、ここに我が国は「日本建国の大理念を世界に布せんと」の大志もって開国したのである。
我が国にとって特別意義のある祝日である神武天皇御即位の日は、明治六年一月二十九日(旧暦)『紀元節賜穂?の勅語』により、天皇陛下御自ら国民と共に祝うこととされ、後に大衆運動によって、国民が総じて祝う建国祭となった。
このように、建国の理想を顕現すべく、天皇陛下の下国民が一致団結して為し得た、我が国近代史の輝かしい事実を正しく確認しなくてはいけない。
現代の我が国の混迷は、国家の源と国家の中心を邪気で覆い隠されていることにある。人一人に例えても、初心を忘れ、思想と行為に中心も軸のない者は世の邪気に飲み込まれ惨たる人生を歩むことになる。
今、日本を立て直すには、穢れた者の小賢しい言論に頼らず惑わされず、尊厳ある日本人自らが、国家の源と国家の中心を覆い隠している邪気を祓い清めること。日本人が建国の大理念に立ち返り、天皇陛下を中心として一致団結すれば、おのずと日本は本来の姿に立ち返り世界を救済する光を放つ存在として復活するであろう。
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